うんめいのひと 兵藤学園……元は福本学園系列の男子校であったが、寄付金等の収益をダイレクトに懐に入れたい、当時学園長(現理事長)兵藤和尊によって独立した学園である。 そんな利益優先主義の理事長の意向により、家柄財産共に申し分のないぼんくら生徒がメインではあるが、この学園には別の一面もあった。 来るべき有事に備え、優秀な私兵を確保……だが有事まで遊ばせておくわけにも行かないため、企業体『帝愛』において、兵藤直轄の業務を行う従業員『黒服』の育成に力を注いでいる。 さて、この一見特殊な兵藤学園にも、いわゆる庶民の生徒もいる。彼らは主に推薦で集められ……ごくごく普通の推薦入学と同じように、学園の箔をつけるために、学力スポーツに優れていて集められてきた生徒がほとんどだが、その中でも特異な存在がある…… それは足を踏み入れた本人たちすら、合格した理由はわからず、ただ、学費も寮費も浮くため、非常にラッキーだと思い、後悔するハメになる生徒たち……決して合格した理由が明かされることはないが、教員たちの間でこっそり囁かれているのは「ストレス解消係」である。 伊藤開司は、本人があずかり知らないうちに、その「ストレス解消係」としての役割を担ってしまっていた。 教師の遠藤と、利息代わりのあれやこれやを致したカイジ…… その後、理事長の息子、兵藤和也率いるグループに呼びつけられているため、空き教室を出てすぐに移動したかと思いきや、その教室があった棟の、やはり人がほとんど使わないトイレの一番端の個室に籠っていた。 人が使わないことがほぼ前提なため、このトイレの生徒による清掃(平民生徒のみ)は、週に一度の土曜日のみ。 それでも用務員が覗いて、汚れていることがあれば掃除をするが、ここでは滅多にそういったことはない。 普通の学校でそんなところがあれば、不良の溜まり場にうってつけのようだが、この棟は旧校舎であるがゆえに冷暖房が完備されておらず、とても快適とは言えない空間であり、また風水的に方位でも悪いのか、非常に不人気スポットである。 さて、カイジはそろそろといちごのパンティーを下ろすと、短いスカートを捲り上げ、洋式便座に腰掛けた。 足を開いて、パンティーの股の部分を覗き込み、はぁーっと、大きな溜め息をつく。 気をつけて歩いてきたが、中で出された遠藤のものがあふれ…そして己の滴りとで、小さな布にいちごとは別の模様を作っていた。 どろりと自分の体内から零れ出る体液の感触に、ぶるりと体を震わせながらも、トイレットペーパーで、濡れた部分をごしごしこすりつつ… 「くそっ…中に出すなよ、バカ遠藤っ…」 汚れの半分は自分の物なのに八つ当たりである。 返済日は、いっつも替えを持って歩こうかと思いながら、それってやるのが前提みたいで……と、結末はわかっているくせに、頬を赤く染めてカバンに入れてこないカイジも悪い。 ついたばかりで、布が透けるほど濡れたわけではなかったのが、幸いといえば幸い…でも匂いとか嗅がれたら、なにしてたかは一発でばれるんだろうなぁ…と、カイジはまた大きく溜め息をついた。 だが、溜め息ばかりついているわけにもいかず、カイジは自分の奥まった秘部をそっとなぞり、ゆっくりと内部に指を進める。 元金を返せる今日は、リクエストどおりの恰好をしていけば、利息代わりのあれやこれやも、遠藤のいうように多少は緩和されるが……それでも必ず身体検査はされるのである。 遠藤との情交の痕跡は残しておけない。 ただ、いつもこの作業はただひたすら惨めなだけなのに、今日は少しだけいつもと違っていた。 遠藤に少しだけ優しくされたせいかもしれない。 自分の内側から遠藤の匂いがすることに、なにやらクラクラする。 遠藤が自分の奥の粘膜を指でこするときを思い出しながら、できるだけ同じように動かして…同じように動かないことをもどかしく思いながらも、つい先ほどの感覚が戻ってくる。 触れられた大きな手のぬくもり…自分の中で熱くたぎる太い楔…いつも小馬鹿にしてるような目で見るくせに、ほんの時折、自分を気遣ってくれるようなまなざし… どんなに悪態をつこうが、実は遠藤のすべてが好きでたまらないカイジである。 こんなことはおかしいと思いながらも、傾いてゆく心は止められない。 本当は援交の真似事でなく、遠藤に望まれればどんなことでもされたいし、したいのだ。 「…っ……えんど…せんせ…」 荒く息をつきながら、空いている手で自分の分身をなだめ、追いたて… 「あっ……」 開放の瞬間をトイレットペーパーで受け止め、少し満足げに息を吐いて、カイジがふと上を見上げると… 「あ゛あ゛っ…!?」 「カイジさーん、和也さん待たせてそんなコトしてていいんすか〜?」 と、カイジの居る隣の個室の頭上から、金髪の下級生がニヤニヤ笑いながらヒラヒラと手を振ってみせる。 兵藤和也の取り巻きの一人、佐原であった。 佐原も立場的には『ストレス解消係』としてこの学園に入学を許されたクチであるが、持ち前の要領のよさで理事長の息子の取り巻きの一人となっていた。 「すっ…すぐ行くからあっち行けよっ!!」 カイジは赤くなったり青くなったり最終的には涙目である。 そんなカイジにお構いなく、佐原は壁をよじ登り、カイジのいる個室の方に降りてきてしまった。 狭い個室でカイジの向かいに来てしまい…カイジの目の前に来るのは佐原の股間の辺りである。 理由をつけられて頭をそこに押し付けられたらマズイと、カイジはガバッと立ち上がった。 「なっ…なに考えてんだよっ、ばかっ」 「それはこっちのセリフっすよ。いいんですか?またいじめられる口実作っちゃって」 佐原はカイジのスカートの裾から手を入れて、ノーパン状態の尻をむにっと掴んだ……すこぶる楽しそうである。 「馬鹿っ、触んなっ!もう出るからっ」 佐原の体の隙間から手をドアをロックしている金具に伸ばすが、いつもなら簡単に開けられるのに招かざる遮蔽物が邪魔して個室から出ることが叶わない。 佐原はあやすようにカイジの体を抱きとめながら、先ほどまでカイジの尻を掴んでいた方の手で、器用にも片手でガラガラ言わせながらトイレットペーパーを巻き取った。 セレブな御曹司が使用する新校舎のトイレのシルキーな肌触りのものとは違い、とりあえず設置されているだけの旧校舎のトイレのそれはいかにも安物でなにやら繊維が硬い。 佐原はなにやらごわつく白い薄紙をカイジの尻の谷間に押し付けた。 「出るったって、このまんまで行くわけにゃあいかんでしょうが」 ただふき取ってやるだけなら、行き過ぎた親切というべきだろうが、佐原はそれをさらにぐいぐいとめり込ませる。 紙の繊維が水分を吸い取ってしまい、潤滑剤がなくなったそこを、ざらついた紙でさらにこすられ続けるのは、地味ながらもなにやら苦痛。 佐原の学ランの胸元を握り締め、身を硬くして耐えるカイジの様は、見ようによっては初めての抱擁に緊張する乙女のようであった。 目をギュッと瞑ってふるふる震える様子に、佐原は怯えるウサギみたいで可愛いなぁ…などと佐原は思う。 口止め料として、さらにもっといろんないたずらも出来そうなのだが……この後に控えているのが、あの和也。彼よりも先に本日分の味見をしたなどとバレたら、こっちがどんな目に合わされるかわかったものではない。 汚れたトイレットペーパーを便器に投げ入れ、佐原はカイジの硬く結んだ唇にちょんとキスをした。 カイジはハトが豆鉄砲を食らったような顔をする。 佐原はそれが面白くてたまらないといったような、やけにヒステリックに響く笑い声を上げるが…内心ではあのオヤジ相手なら、顔真っ赤にして上目遣いでもの欲しそうな顔をするくせにと、ムカつくイラつくを通り越し、悲しくなっていた。 自分には和也のような財力のバックもなければ、遠藤のような経験に裏打ちされた狡猾さもない。本当に持たざるものなのだと。 別にその立場なりに、ただ日々を愉快に過ごせるなら、上に気付きながらも見ないフリでやりすごせた。 カイジを手に入れたいなどと思うようになるまでは… ふと笑うのをやめ、改めてカイジを見る。 それなりに可愛らしいと思うが、見た目だけなら街でナンパしたほうが、もう少しグレードの高い女の子が釣れる。 普通…だと思う。いたぶりまくった末にカイジが見せる、ギラギラとした目以外は。 その目が、その表情が、屈服したくてたまらなくなり……自分ひとりだけに懐くようにしたくなる。 それが普通の人生…いや、普通より少しグレードの高い人生を生きるためには、抱えてはならない異常なレベルの負の感情だと、佐原も理性ではわかっているが、抱えてしまった後で気付いても、もはや手遅れ。 強すぎる餓えがもたらすものは、重ねても積み足りない成功か、泥沼のような破滅のどちらかであり、破滅の道へ堕ちてゆくほうが圧倒的に多い。 だが自分は勝者となり、その傍らにどんな形であれ、カイジにいて欲しいのである。 だから今は帝愛グループの御曹司である和也に取り入り、卒業までに『使い捨てにするには少し惜しい道具』になっておかねばならない。いずれ富と権力を手に入れ、牙を剥くそのときまで…… 「そろそろ行こうか」 無言のカイジの手をとって、引き摺るようにしてトイレを出る。 「ちょっと、離せよっ!!一人で歩ける」 ぎゃあぎゃあわめくカイジを適当にいなしながらも握る手は離さず、こうしていれば(服装以外)普通の人なんだけどなぁ…などと思うが、魔性の人は、案外一見ごくごく普通の人なのかもしれない。 きっと、言っても信じてもらえねぇのはわかってるけどさ… 佐原はカイジと手をつないだまま、この廊下がいつまでも続けばいいと思った。 ずいぶん間が開きましたが兵藤学園2です。 カイジも純情、佐原も以外にも純情ですが…やってることは不純……トイレから出たら手を洗えよ、おい。 福本学園にしないのは神々がすでにハイレベルなことをなさっているので、ヘタレのワタクシめがつけ入る隙がないからです。 ちなみに兵藤学園の『黒服』候補生のユニフォームは普通の学ランですが、黒サングラスと角刈りが必須…。成績上位者は有無を言わさず帝愛に就職(ブレイン候補はさらに上の学校に進むものの、やはり帝愛に確保されるのは確定)ですが、黒服おちこぼれ組も、よそに出ればそれなりに優秀なので、適当な成金のボディーガードに売られたりとか… いらん設定が増えているらしい… |